書こうかどうしようか迷ったけれど、わたしが流産したときに他の人の体験談を読んで、かなり心の慰めになりました。
わたしは何か辛いことや嫌なことがあったとき、他の人の体験談をみると心が落ち着きます。
なので、わたしの流産体験を書いてみようと思います。
7年程前のことなのに、はっきりと覚えています。
ちなみに現在は0歳3歳と6歳の男の子を無事出産し、育てています。
妊娠9週の繋留流産手術の体験談
妊娠発覚
結婚して2年、わたしが30才のときに初めての子供を妊娠しました。
生理がちょっと遅れていて、体調も悪い。
なんか怪しいなーとドラッグストアで妊娠検査薬を買ってきて、家で試してみたら結果は「陽性」
あの棒線がくっきり出た瞬間は衝撃的でした。
わたしは子供が嫌いで、そのときに子供が出来た喜びはありませんでした。
ただただ言葉も出ないほどショックでした。
ショックで友達からの頂きものの高級ブランドワイングラスを落として割ってしまったほど。
夫が会社から帰ってきて報告。
夫は子供を欲しがっていたので、喜びました。
妊娠確認のため産婦人科受診
とりあえず病院に行かなきゃね ということで、夫と二人で近くの県立総合病院へ。
そこで受診。
妊娠が確定しました。
そして妊娠5週目。
すでに吐きつわりも始まっていました。
そのとき住んでいたのは横浜。
産科が少なく激戦の地域だったので、すぐに予約を取らないと予約が埋まってしまうということで出産予約を取りました。
妊娠したら「母子手帳」を取らないと!と思っていたので、産婦人科の受付で訊くと「まだ早いですよ」との返答。
初めての妊娠でよくわかっておらず、そんなもんかーと「わかりました」と言って帰りました。
まだ受診が早すぎて心拍が確認できないので、7週目にまた病院へ行くことになりました。
両親に妊娠報告
二人とも初めてのことでよく分からず、とりあえず自分の親と夫の両親に報告しました。
できたらとりあえず報告したほうがいいよね?なんて思って。
両方の親も喜んでくれました。
ー妊娠したら普通にお腹が大きくなって、産まれてくるのが当たり前ー
わたしはそう考えてました。
妊娠出産は奇跡なんて言うけれど、ふーんくらいに思ってました
7週目検診心拍確認
予約していた県立病院の産婦人科を再び受診しました。
膣内エコーで確認すると、豆粒よりも小さな命の鼓動が始まっていました。
これが俗に言う「心拍確認」です。
この赤ちゃんの心臓が動き出したら、流産の確率は減ると言われています。
心拍確認で一安心らしいということをあとで知ります。
そのときははじめてのことなので、「もう命がはじまっている」ということが不思議な感覚でした。
そして次回は9週目に診察予約を取りました。
9週目受診、病院で係留流産を告げられる
妊娠9週目、普通に夫と病院の産婦人科を受診しました。
ちょっと気持ち悪い膣内エコーも少し慣れて、いつもようにエコーの映しだされるモニターをなんとなく眺めていました。
後で思えば、医師が今までよりもだいぶ丹念にチェックしていたような気がします。
そして膣内エコーが終わったあとに、いつものように診察室に呼ばれました。
夫は待合室で待っていて、診察室に入ったのはわたし1人。
そこで言われたのは
「赤ちゃんの心拍が確認できません」
よく意味がわかりませんでした。
「念のために、1週間後にまた確認しましょう」
突然のことに頭は混乱していて、待合室で待っていてくれた夫に医師に言われたことをそのまま伝えました。
流産診断から次回診察までの1週間
医師が念のためということと私たち夫婦の気持ちの整理ができるようにと、1週間の期限を設けてくれたことは感じていました。
新しくお腹にやってきた命は、もういなくなってしまったのだと。
わたしはなぜだかとても悲しくなり、涙が止まらなくなり、夫の胸で思いっきり泣きました。ただただ、どう表現したらいいのかわからない感情が、わたしを支配して涙を流しました。
決して心から望んでいたわけではない突然の妊娠だったのですが、わたしは複雑な気持ちでした。
悲しかった。
ちょっと精神不安定でした。
出かけた大阪での友達の結婚式会場には、妊婦であるわたしのために用意してくれたクッションに、お腹にはもういないであろう命に想いをはせました。
義理の母のなぐさめの優しい言葉も、ただただ涙が溢れました。
母子手帳もこういうケースがあるから、早く取りに行くのにストップがかかったんだと理解できました。
9週目再診
九週の週になり病院へ行って、再び膣内エコー。
やはり一時は動いていた心臓はとまり、心拍停止との診断になりました。
診断名は「繋留流産」
お腹の中での赤ちゃんの死亡です。
妊娠九週目 流産確率
医師は「流産」は妊娠の20%〜25%を占めていて確率的には珍しいことではないとわたしに伝えましたが、わたしの悲しみにはなんの効果もありませんでした。
他の人が流産していて全体の何%が流産という統計があろうと、わたしにとっては始めての妊娠で流産なのです。
「お母さんの責任ではありませんよ」
そう慰められても、あのときああしたのがダメだったのか?そのときもあれがもしかしたら・・・と頭の中をぐるぐるとまわりました。
繋留流産手術をすすめられる
「そのまま何もしない状態では、大出血して流産する可能性があるので、繋留流産の手術をしましょう」
と言われました。
そして、1泊2日の入院をして手術で赤ちゃんを取り除くことになりました。
そのまま入院の手続きをして帰りました。
繋留流産手術(子宮内容除去術)
入院で退屈しないようにDVDプレーヤーなどを持って入院しました。
入院部屋は個室を取ったのですが、産婦人科なのでずっと赤ちゃんの泣き声が聞こえてくるのが、地味にこたます。
前日にバルーンという子宮口を広げるものを入れて手術に備えます。
生理痛のような痛みを感じるという事前説明を受けていましたが、わたしは生理痛がひどいせいかあまり痛みはひどくありませんでした。
明日には手術で、お腹の子供がいなくなる・・・実感がわかずにそのまま眠りにつきました。
繋留流産手術
スッポンポンになった上に、手術着を羽織ります。
そしてそのままキャスター付きのベッドに乗って手術室まで移動しました。
手術室につくと手術台に移動。
全身麻酔での手術です。
すぐに麻酔が点滴で入れられました。
カウントダウンを自分で数えます。
「1・2・3・4・・・・」
そのあたりでわたしの意識はなくなりました。
意識を取り戻したときには、病室でした。
相変わらず赤ちゃんの泣き声が聞こえます。
手術は成功し、わたしのお腹はからっぽになりました。
その時は、摘出した赤ちゃんに会いたいという気持ちは全くありませんでした。
今思えば見せてもらえばよかったな、という気持ちもあります。
繋留流産でまだ9週の赤ちゃんは胎児ではないので、どのように葬られたんでしょうか。
体の回復を待って、手術日当日わたしは退院しました。
ー妊娠したら元気な赤ちゃんが生まれてくることは当たり前ではないー
生まれない命もある。
その現実を思い知りました。
つわりは赤ちゃんがお腹の中で死亡していても、手術直前まで続いていました。
そして手術が終わると、つわりは消えました。
9週流産手術後、退院して同じ境遇のブログばかりを読んでいた
退院して数日数週間は悲しみの日々でした。
失った喪失感は、わたしに思った以上の精神的ダメージを与えていました。
仕事もしていなかったので、家で閉じこもる日々。
1人の時間がたくさんあったので、わたしと同じ体験をした人の体験談やブログを読みあさりました。
繋留流産は民間の保険の対象になった
繋留流産の手術費用は思ったより安いものでした。
確か3万ほどだったと思います。
自分で入っている医療保険から、手術給付金で8万円ほどの保険金もおりました。
そして、その医療保険の契約期間が切れたあとに、違う医療保険に入り直しましたが、繋留流産を経験しているということで、保険は数年子宮に対しては保険対象外とされてしまいました。
繋留流産は病気でもなく珍しいことでもないと、医師に言われたのに、医療保険ではわたしの子宮に問題があるから保険の対象外とされたようで、なんとも言えない気持ちになりました。
繋留流産後の妊娠は半年後
日にちが経過するにつれ、悲しみは薄れましたが、本当に悲しみがなくなったのはその繋留流産後半年後に妊娠した長男の出産したあとでした。
長男を妊娠中にも、流産経験をつんでしまったわたしは、「この子も流産してしまうかも」と心の片隅に常に心配がありました。
そんな不安にも負けず、長男は無事産まれました。
命が誕生するのは、おおげさでもなんでもなく、本当に奇跡なのだとわたしは知りました。
流産の記憶と記録は一生付きまとう
流産した子供は男の子だったのか女の子だったのか、考えても詮無いことですが稀に考えたりしています。
現在でも病院などにかかるときには、最初に個人情報を書きますが、手術歴を記載する欄が必ずあります。
そのときに「子宮内容除去術」と書くのですが、その度に思い出してしまいます。
妊娠したときはタイミングと相手を考える
今回のように考えもなしに妊娠初期の段階で妊娠報告をしてしまいました。
本当これは失敗でした。
だって、流産したあとに何も知らない人から「赤ちゃん、順調?」と訊かれてるので、そのたびごとに流産したことを伝えなくてはいけません。
わたしも辛いし、聞かされた方も困りますよね。
次に妊娠した長男のときには、慎重を期して早い段階の報告はお互いの両親のみにしました。
繋留流産は体に問題があるわけではないので、次の妊娠には影響ありません。
わたしも普通に半年後に妊娠しました。
9週で流産になったプレママへ
今同じように悲しい想いをしている人へ。
お腹の子は旅立ってしまったけれど、いつかその悲しみを癒してくれる天使があなたのお腹へやってきてくれますように。
妊娠出産の漫画で読むたびに泣いてしまう「透明なゆりかご」って読んだことありますか?
絵はほのぼのしているのに内容がリアルすぎて、めっちゃ心に響きます。
泣きたいなら思いっきり泣いて泣いて泣いたほうがいい。
妊娠出産を考えているすべての人に読んでほしい漫画です。